シューマン  (1810~1856)

シューマンの「幻想曲」はシューマンはもとより、ロマン派のピアノ作品としても もっとも名曲と言われています。雄大で情熱にあふれた3楽章構成になっています。 この曲はベートーヴェン記念碑をベートーヴェンの故郷であるボンに建てるための 寄付を募集していることをシューマンが聞き、作曲されたものです。各楽章は。深く 尊敬するベートーヴェンの作品を意識して書かれていますが、ロマン派特有の自由な 展開を持ち、曲の最初にはシュレーゲルの詩がモットーとしてつけられています。 またベートーヴェンの歌曲「遥かな愛人に」のフレーズが1楽章最後に出てきます。 各楽章にはドイツ語による速度表示がしてあります。`

 1楽章  「どこまでも幻想的に、かつ熱情的に演出する」
 2楽章  「程よくどこまでも精力的に」
 3楽章  「ゆるやかに演奏する。どこまでも穏やかに保つ」

大変幻想曲的に書かれている1楽章は、本によってはソナタ形式と書かれていますが、 中間部を持つことや、第1主題の再現が多く出てくることで、むしろロンドソナタ形式 とも解釈できます。2楽章はベートーヴェンの28番 Op.101のソナタの2楽章を意識 しているように、たえず力強い付点のリズムで支配されています。中間部は多少穏やか に、しかも拍節が微妙にずれているため不安定感を持ちます。3楽章はこの世の音楽で はありません(ショパンのソナタ3番の3楽章のようですが)。転調の素晴らしさが曲のクラ イマックスを一段と効果的に演出しています。

演奏 小栗 克裕 (Play by Katsuhiro Oguri )
(リアルタイムMIDI録音)