ここのデータは、私の演奏によるリアルタイム録音で、シューマン(1810~1856)の「謝肉祭」(全曲)をお送りいたします。シューマンの24~25歳の作曲で、すでに彼の独創性が発揮された名作です。この曲を書き始めた頃から10年間、彼は音楽批評の仕事をしており「音楽新報」という雑誌を創刊して、当時の保守的、常とう的音楽を非難し、自由な新しい音楽(現在で言われるロマン派芸術)を賛美しました。この「謝肉祭」に出てくる意味不明の題名(「フロレスタン」「オイゼビウス」といった)は彼の批評家としてのペンネームです。また終曲の「フィリスティン」は保守的なグループを指し、「ダヴィッド同盟」はシューマンに賛同するグループの名前です。何となく子供じみた発想のようですが、これもまたシューマンの精神分裂的妄想の世界の始まりを暗示するもので、その後20年の長い月日をかけて徐々に彼の発想は精神錯乱していくのです。